わくわくダサイランド

プッチンプリンのぷるるん食感そのまま、豆乳クリーム・国産大豆を使用した豆乳をベースにアーモンドペーストでコクづけし、まろやかな風味を実現しています。動物性原料を使わず、きび砂糖などの植物性原料ならではの素材でやさしい甘さに仕上げました。※着色料・保存料・人工甘味料不使用

マンガ賞

先日、とあるマンガ賞に出すための原稿が完成した。

今回はいつにも増してギリギリで、出来上がった原稿を封筒に放り入れるやいなや、すぐさま郵便局へと赴いた。
襲い来る原住民の矢を膝に受け、猛獣たちの襲撃をくらい、怪しげな魔術師に黒魔術をかけられ心身ともに疲弊しつつも、決して歩を緩めることなく、血と汗にまみれ、ひたすらに郵便局を目指した。
到着した時、最終の集荷の時刻だったようで、帽子を目深にかぶったポストマンが、今まさに自転車に跨り漕ぎ出そうとしていた。
夕日が街道沿いをオレンジ色へ染めていくなか、私は離れゆくポストマンの背をひたすらに追いかけた。
石に躓き身を地面に叩きつけられ、遠く彼方へ去ろうとするポストマンの後ろ姿を、薄らいでゆく意識のなか、まるで船乗りが水平線の向こうに蜃気楼を見るがごとく眺めた。
不意に、キッ、と、ブレーキがすり減っていることを容易に想像させる音を立て、自転車は立ち止まり、ポストマンはゆっくりと後ろを振り返った。
私は手に持った封筒を、震える手で掲げた。子どもの背にすら届かぬような高さではあったが、ちょうど都合よく、倒れこむ私のすぐ側の街灯が、演者にスポットライトを当てるかのように、私を闇夜に沈みゆかんとする街からその姿を浮かび上がらせた。
血と汗に加え矢に刺され尚且つ黒魔術により常人とは思えぬ顔色の、どう考えても不幸なシナリオへと進みゆく他無い演者のような私の姿を、ポストマンの瞳が捉えたのであろう、彼は私の元へと自転車を押しながら近づき、私の手を取りゆっくりと立ちあがらせた後、私が手に持つ封筒をそっと取り上げた。私は料金を支払い、彼に礼を述べ、再びポストマンは自転車に跨り、オレンジ色から藍色へと移ろい行こうとする空を背景に走り去って行った。